私達は企業の未来をアシストする中小企業診断士のプロ集団です。

2018年11月度定例会 活動報告


11月度定例会は、増渕健二会員、日景聡会員、木下忠会員、及びビジネスモデルカフェメンバーの企画として『美意識を高めるデザイン思考ワークショップ(プロトタイピング編)』と題し、講演とワークショップのファシリテーションを行っていただきました。

 

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■デザイン思考概論 増渕健二会員

 まずは増渕健二会員から、近年のバズワードである「デザイン思考」についてのご説明をいただきました。

 デザイン思考の定義は様々存在するものの、「デザイナー的思考×ビジネスプロセス(課題解決プロセス)」であると定義されました。特に「デザイナー思考」とは、ユーザ視点からスタートし、観察などの定性的分析と直感的で斬新なアイデアを重視し、実験的に試行錯誤を繰り返すことであるとご説明いただきました。

 またデザイン思考が近年求められている背景として、VUCA時代(移り変わりが早く読めない時代)がきており、論理思考の限界がくる中、クリエイティブ思考が重要視されているとのことで、これは工業化時代に作られた論理思考と脱工業化時代のデザイン思考を対比する考え方であることも述べられました。

 さらに、デザイン思考の手法として、スタンフォード大学 d-schoolの5ステップをご説明頂きました。特に簡単な試作品を短時間で作ることで、アイデアの有用性を素早く検証する「Start small , fail fast」の考え方が大切であることを述べられました。一方で、デザイン思考の考え方は理解しにくいため、体感をしないとなかなか理解することは難しいとのお話もいただきました。

  デザイン思考の活用場面については、使える場面と使えない場面を比較しご説明いただきました。具体的に中小企業診断士として活用する場面として、クライアント観点では「起業家予備軍やチャレンジ精神が旺盛な中小企業」、コンサルティング領域観点では「新規事業開発や新商品開発」のような正解がない領域、課題把握や解決策が思い浮かびにくい場面に活用できるとお話いただきました。

 

■デザイン思考のワークショップ  増渕健二会員

 続いて、増渕健二会員のファシリテーションの元、参加者全員を班分けし、ワークショップを行いました。テーマは、「自動車会社の新規事業開発を任されたチームの社員として、新しい旅の体験を提供する商品やサービスの立案」です。

 各グループで個々人の体験を書き出した後、グループでディスカッションを行い、気づきをブレストで洗い出しながら、ユーザやニーズの仮説を立案していきました。その仮説を活発な議論を行いながら折り紙やシール・モールなどを活用し、プロトタイプを作成し、グループ間での発表とフィードバックを行いました。

 

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 最後に、増渕健二会員より「プロトタイプはフィードバックを通し何度も繰り返すことで商品やサービスの質が上がっていくこと」、「論理思考からデザイン思考に近づくには練習と実践が重要であること」、「中小企業診断士にとってデザイン思考が新たな武器になり得ること」を述べていただき、会場は大きな拍手に包まれ終了致しました。

 

 

 

 

2018年10月度定例会 活動報告

2018年10月度定例会 活動報告

 

10月度定例会は、中口宗紀会員の企画として『人工弁から見た心臓外科50年の進歩と病院経営』と題し、中口宗紀会員に加えて、外部講師として中澤達様と、オメガさと子様、小河知夏様に講演を行っていただきました。

 10月度定例会では、中口会員のご提案による新たな試みとして、sli.doを活用して参加者からの質問をリアルタイムに画面上に映し出すというスタイルがとられました。

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■2度の心臓手術を経て得た知見と診断士と医療の関わり方 中口宗紀会員

 まずは中口宗紀会員から、幼少期と昨年の2回に渡る心臓手術の経験をご紹介いただき、近年の企業の健康経営に対する取組や心臓外科医療の最新事情、医療機器産業に対する政府のものづくり支援に関する補助施策をご説明いただきました。

 中口会員は幼少期に先天性の心臓心室中隔欠損症により外科手術を受け、昨年9月にバルサブラ洞動脈瘤という珍しい症例で2度目の手術を受けました。

 講演ではご自身の経験を生々しくお話しいただき、かかりつけ医の大切さ等をご教示いただきました。また、中口会員は、事業承継のリスクには経営者の突然の病があるとの考えから、健康経営アドバイザー初級の資格を取得しており、健康診断結果を基にした健康状態の簡単な判断方法をご紹介いただきました。

 さらに、病院経営について、診療報酬の実態や、消費税増税、PX(患者経験価値)向上の将来課題についてお話しいただきました。医療機器産業は、政府の成長戦略に位置付けられる一方、世界的に日本は下位に位置します。各種の医療機器開発の公的支援制度に診断士が積極的に関わることで競争力の強化に貢献できる可能性があるとのことです。

 

■オメガ3オイルの効用 オメガさと子様

 次に、外部講師のオメガさと子様から料理研究家として推奨する「オメガ3」オイルについての効用をご説明頂きました。オメガ様は20年の看護師歴を持ち、内7年を血管カテーテル医療に従事しました。血管疾患看護やご家族の介護の経験から、身体を作る食の重要性を世に広めたいとの想いからオメガ3オイルの普及活動に注力しています。オメガ3は主に魚の油(DHA・EPA)、エゴマ油などから摂取できる脂肪酸であり、心疾患を防ぎ、心身の健康や若さを保つ効果があります。最近ではGoogle等の健康経営を取り入れる企業で注目されています。

 講演中、オメガ3オイルをヨーグルトに入れた試食が行われ、sli.doを活用した質疑応答では、興味を持った多くの参加者から摂取の頻度や量、調理方法等についての質問が行われました。

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医療機器業界の概要とワークショップ  中澤達様

 最後に、東京都健康長寿医療センター「血管外科部長」、北里大学大学院医療マネジメント教授、東京大学医学部非常勤講師を務めている中澤先生に登壇いただきました。先生は外科医として臨床の現場に立つ傍ら、ハーバードビジネススクール医療経営学を修了し、大学で経営学の研究と講義を担当されています。また、グロービス経営大学院客員准教授としてクリティカル・シンキング講座の講師もされています。医師と経営学は一見異なる分野に見えますが、PDCAを回すという点で同じベクトルを有するパラレルキャリアだとおっしゃいます。

 始めに医療と経営の専門家の観点から、医療制度の問題点や医療機器マーケットの特徴を解説いただき、医療機器特有の低いローンチ率や海外企業と日本のグローバル戦略の違いを多面的な観点からご説明いただきました。

 

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 その後、参加者全員を班分けし、グループディスカッションを行いました。外部からご厚意でご参加いただきました小河知夏様に題材を朗読いただき、臨場感溢れる雰囲気の中、小さな町工場が最先端医療の分野に進出すべきか否かを議論しました。時間がなく短いセッションでしたが、各テーブルでは活発な議論が行われ、中澤様のコメントと合わせて新たな視点を得ることが出来ました。

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 複数の外部講師のご参加や試食提供、sli.doを活用した質疑応答、ナレーションによる朗読&グループディスカッションなど、これまでにない斬新な取組みに参加者一同が感銘を受け、終了後、会場は大きな拍手に包まれました。

 

2018年9月度定例会 活動報告

2018年9月度定例会 活動報告

 

9月度定例会は、山口達也会員の企画として『小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金のポイントと支援』と題し、山口達也会員と、甲田輝彦会員に講演を行っていただきました。

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■3つの補助金の概要、採択状況 山口達也会員

 まずは山口達也会員から、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金、の3つの補助金について、概要と採択の状況についてのご説明をいただきました。

 山口達也会員が独自にまとめられた調査データを基に、近年の採択率・採択件数の増減傾向についてご紹介いただきました。また、補助金の予算額は補正予算であるものの近年増加傾向であることから、今後、中小企業診断士として相談されるケースが増加するだろう、とのことでした。

さらに、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金それぞれの、補助対象となる経費の説明や、申請にあたっての関係機関、診断士がビジネスとして支援する際の関わり方、申請の難易度を分かりやすくご説明いただき、補助金を申請したことのない多くの参加者は、各補助金のおおまかな概要を知ることができました。

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■補助金支援の経験談 甲田輝彦会員

 次に、甲田輝彦会員から補助金支援の経験についてお話を頂きました。甲田会員は、補助金申請の支援は診断士のひとつの重要な業務である、また、中小企業の社長と経営診断・助言をしていくための「きっかけ」になることも多いと考え、この1年間積極的に取り組んできたのだそうです。

 おおまかな申請までの段取りをご説明いただいた後、実際に作成していく上で気を付けている点や実際に作成する資料のボリューム感について、写真や記入例をまじえながら分かりやすく解説いただきました。 

 具体的に、審査項目をヌケモレなく盛り込む方法、重点的にヒアリングする項目、加点のために取り組むべきことなど、実務を経験してこそのノウハウを惜しげもなく共有されたことで、申請実務の未経験者が多い会場からは、うなり声もあがっていました。

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別の補助金の審査員経験から語る採択される書き方と考え方  山口達也会員

 最後は、再び山口会員のお話です。今回のテーマとは別の補助金での審査員のご経験から、採択されやすい書き方や考え方について解説をいただきました。

 補助金を審査する際の採点項目を推測する方法や、文章を書く上で何を盛り込むのか、丁寧に書くべきことは何かについて、テクニック面での話を審査の実態や裏話などを交えながらされた後、最後に、特に重要なこととして、社長の熱意や現場の生の声を聞くことの大切さを、力を込めて訴えられたことで、会場も中小企業診断士としての魂を揺さぶられ、大きな拍手につつまれながら講演は終了しました。

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2018年8月度定例会 活動報告

2018年8月度定例会 活動報告

 

2018年8月度の定例会についてご報告いたします。

 8月度定例会は、小島慶亮会員の企画として『徹底研究!地域支援を行う診断士のあるべき姿とは?~ゴーストタウンだった熱海の街を復活させた事例から探る!~』と題し、地元熱海で地域再生支援をされている市来広一郎様(株式会社machimori代表取締役。NPO法人atamista代表理事、(一社)熱海市観光協会理事。(一社)ジャパン・オンパク理事。(一社)日本まちやど協会理事)にご講演いただきました。

 市来さんは、地元熱海で「100年後も豊かな暮らしができるまちをつくる」をミッションに約10年前から地域に根差した地域再生支援を行ってきました。講演では、市来さんが生まれ育った熱海の地域再生支援にどのように取り組んできたか、今後への想いなどについて、お話しいただきました。

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■寂れた熱海の再生への第一歩 ~ 地元住民の満足度を高める

 市来さんは、観光客も減り、廃墟のようになってしまった地元熱海をどうにかしたいと、大学卒業後勤めたコンサル会社を4年で辞め、2007年に熱海にUターンされました。

 熱海に戻りショックだったのは、観光客の満足度がとてもとても低かったこと、そして、観光客だけでなく、地元の人たちの満足度が低く、地元には「何もない」とネガティブなイメージを持っている人が多いということだったそうです。個人客の増加に対応するには、サービス業の従事者だけでなく、地元の人誰もが観光客に対応できることが必要であり、まずは地元の満足度を高めるため、地元の人が地元を楽しむツアー「オンたま(熱海温泉玉手箱)」として、様々なツアーを2009年から約3年間実施しました。

 地元の商売している人たちにガイドをしてもらうなど、地元の方を巻き込み観光客とスペシャルな体験を共有してもらうべく、街歩きガイドツアーを通じて昭和レトロの雰囲気の街並みなど、地元の価値に気づいてもらいました。今まで資源と思われていなかったところの再発見に繋がり、地元メディアでも発信され、口コミも広がり、“熱海のイメージが変わった”という地元住民の声も増えました。小さな種まきを地道に続けた結果、街の空気も変わってきたそうです。

 このような取組みは市来さんが立ち上げたNPO法人atamistaだけではできないため、熱海市、熱海市観光協会と実行委員会を作り、それぞれの強みを活かし連携して推進されました。

 

■まちづくりの税金依存からの脱却 ~ 持続可能なしくみ・稼げるまちづくりへ 

 オンたまツアーで街の雰囲気は変わってきましたが、街に空き物件が多い状況を変えないと街は再生しないと感じ、次の段階として、街に根付く人を増やしていこうと、株式会社machimoriを設立し、空き店舗を自ら再生して運営する事業を開始。小さい成功事例を作るため“熱海銀座”にエリアを絞り、「クリエイティブな30代に選ばれる街をつくる」をビジョンに、様々なリノベーションを進めました。

 地元の不動産オーナーの壁は厚かったそうですが、志のある不動産オーナーと出会い、安い家賃で借りられることになり、2012年に“CAFÉ RoCA”(Renovation of Central Atamiの頭文字)をオープン。その後、2013年11月から隔月で、“海辺のあたみマルシェ”を開催。また、10年間空き店舗だった場所をリノベーションし、ゲストハウスMARUYAをオープン。地元で出資者も現れ、MARUYA周辺の温泉や飲食店、ひもの屋さんと連携したおもてなしなど、多くの人との関わりを意識して作り出しています。さらに、naedoco(コワーキングスペース)もスタート。今では、熱海銀座”の空き店舗は残り2店舗まで減ってきています。

 

 街づくりには、不動産オーナーの協力、戦略的都市ビジョン、人材育成が欠かせないとのことです。特に、起業したい人、移住したい人が店舗や住居を借りやすくする、それには、不動産オーナーと、ビジネスオーナー・生活者をつなぐ存在“家守”が必要で、そういう人たちが増えていくとよいこと、㈱machimoriはその役割を担っていきたいと言われました。

 こうした取組みがつながって、熱海に移住したいと思う人たち、Uターン者、熱海で起業する人、二拠点居住者などが増え、特に若者でにぎわう街に変わってきているそうです。

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 市来さんは、「熱海ほど観光と暮らしが混ざり合った街はほかにない、観光と定住の間の多様な暮らし方をつくっていきたい。」、最近、熱海銀座のお祭りに参加する人が増えてきたそうで、「地元の人もよそ者も境目がない、新しい血が入ってくることで、経済的にも再生しながら、混ざり合いながら、地域に新しい文化、カルチャーができていくといい。」と、今後への想いを話されました。

 

■地域支援を行う診断士のあるべき姿とは?~講演を聞いての気づきの共有と質疑応答

 講演後、小島会員のファシリテートにより、4人毎グループになり、「地域支援を行う診断士のあるべき姿とは?」という切り口で、講演を聞いての気づき・感想を共有しました。その後、各グループで出た意見の発表と市来さんとの質疑応答が行われました。

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 質疑応答のなかで、市来さんから以下のメッセージをいただきました。

・地元を見つめ直して観光や街づくりを進めるには、国内外いろいろなところに行き、いろんな人たちに触れると、新しい視点を得られるのでよい。

・月に数回の支援・サポートというより、ボランティアや運営も含めて関わってもらえるとありがたい。

・地域再生の段階によって異なるが、はじめはリスクをとって一緒にやってくれる人が必要。コミットメントを求めている。

・漠然と街おこしと言うだけでは、事業として成立しない。地域を支援するとき、誰を支援するのかを明確にすることが大事だと思う。

 

「熱海を使って世界を変えたい、楽しく、豊かに、仕事も暮らしもしていける場所を熱海から作っていきたい。」という市来さんの熱い言葉の数々は、参加者の胸を熱くし、会場が拍手に包まれました。

 市来さんは、最近書籍「熱海の奇跡」を出版したこともあり、メディア露出や講演も増え、各地の地方再生・活性化に取り組んでいる人々から注目されています。そんなご多忙のなか、熱海行の最終電車の時間まで懇親会にもご参加いただきました。市来さんの強い想いとパワー、そして人柄に触れる機会となり、街おこしや地域活性化への関わり方など、活発な意見交換の場となりました。

 

参考:「熱海の奇跡」

 (https://www.amazon.co.jp/%E7%86%B1%E6%B5%B7%E3%81%AE%E5%A5%87%E8%B7%A1-%E5%B8%82%E6%9D%A5-%E5%BA%83%E4%B8%80%E9%83%8E/dp/4492503013)

2018年度7月定例会 活動報告

2018年度7月定例会 活動報告

 

2018年7月度の定例会についてご報告いたします。

 7月度定例会は、岩本亨会員の企画として『失敗企業と成功企業の分岐点~私の再生支援経験より~』と題し、ご自身に講演を行っていただきました。

 

■会社の経営悪化には共通の原因がある  岩本亨会員

岩本組組長の岩本会員は独立して13年、CRC(企業再建・承継コンサルタント協同組合)を中心に、企業再建に携わった案件数は約60件を超えるとのことです。

再生支援、承継支援の対応としては、基本的にセオリーがあり、それをきちんと遂行するのが大切となります。今回は、再生支援、承継支援のプロマネをしている、染谷勝彦会員、加藤元弘会員、中村守人会員にも15分程度ずつ実体験をお話いただきました。

尚、CRCは基本的に金融機関から紹介を受けた案件を、会社も全金融機関も納得できる計画を策定し、しかも必要があればTAM(ターンアラウンドマネージャー)を送り込んで、一緒になって経営正常化やスムーズな承継を実現してきた協同組合です。

中小企業診断士として再生・承継案件にどのように対処すれば良いか?その基本的な考え方も含めお話いただきました。

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■事例Ⅰ 事業譲渡&民事信託スキーム  中村守人会員

2年前に中小企業診断士として独立し、CRCで企業再建、事業承継案件をこれまで9件手掛けたとのことです。今回は、経営者の高齢化、後継ぎの不在、多額の債務超過に陥った企業の事業を、民事信託のスキームを活用し事業譲渡した事例をお話いただきました。民事信託を活用することで、スムーズに事業譲渡できた事例でした。

 

■事例Ⅱ 本業立て直しによるPL改善  加藤元弘会員

ホテルやレストラン向けに業務用食品を製造・仕入・販売をしている製造業者の事例です。最新の機器を導入したにも関わらず、売上の減少、価格競争による利益の減少、借入れ過多、組織の機能不全等の状況により営業利益ベースでマイナスが出ていました。

CRCは定期的なモニタリングという形で支援に携わりました。しかしながら、1年目は現場が全く動かず、成果が出ずに終わったとのことです。2年目は、各部門のキーマン同士のコミュニケーションを活発にした所、内製化するという共通の方向性に向かって各部門が一体化する動きが出てきたとのことです。その結果、3年目は黒字化が達成できました。

当たり前のことを当たり前に実行すること、コミュニケーションの活性化には粘り強く取り組むことの重要性を再認識した事例だったとのことです。

 

■事例Ⅲ 温泉旅館の再生支援事例  染谷勝彦会員

バブル崩壊後の景気後退局面を設備投資で乗り越えようとしたが失敗し、再生に向かうも2次破綻した地方の温泉旅館を再生支援した事例です。

TAMを投入し、親子3世代をターゲットにした施策、地元の酒蔵とコラボした利き酒会、高卒の従業員が生き生きと働ける施策等を実施した結果、業績が改善しました。

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■事例Ⅳ 地元有力老舗の再生  岩本亨会員

地元で有力な老舗の食品会社でしたが、グループ全体4社とも債務超過に陥っており、赤字体質だったとのことです。実施した施策としては、硬直化してしまった組織に、TAMを2名投入し、経営体質改善を行いました。

経営改善からリーダー育成による組織強化や、利益体質への転換等を約5年かけて支援を行い、黒字化を実現しました。

 

■まとめ  岩本亨会員

講演のまとめとして、失敗企業の現場からの学びをお話いただきました。

 

失敗企業に共通する10コの問題点

            ◎あるべき経営判断  ⇔ ×残念な経営判断

① 意思決定の仕方 : ◎話し合いで決める  ⇔ ×社長だけで決める

② 判断の根拠   : ◎情報と知識で    ⇔ ×過去の経験に頼る

③ 検討方法    : ◎いろんな視点で   ⇔ ×偏った視点のみで

④ 事業の進め方  : ◎計画に沿って    ⇔ ×目先の利益が出るか

⑤ 見通しの立て方 : ◎最も厳しい予測   ⇔ ×最も甘めの予測

⑥ 対応の特長   : ◎迅速かつ冷静    ⇔ ×不明確

⑦ 経営責任体制  : ◎明確        ⇔ ×不明確

⑧ 重視ポイント  : ◎実体重視      ⇔ ×体裁整備

⑨ 情報管理    : ◎細かく注意     ⇔ ×ほとんど考えない

⑩ 専門家の活用  : ◎積極的に意見を聴く ⇔ ×活用しない

 

失敗企業にならないために 経営改善のキーワード

「当たり前のことを、当たり前にやる」

「コンプライアンス(法令順守):ルールを守る」

「きちんと数字で判断する」

「従業員を大切に」

 

■最後に

中小企業診断士試験に合格したものの、実践のスキルがなかったご自身の体験を振り返りつつ、企業再建・事業承継に携わる意義についてお話いただきました。経営課題を抱え困っている中小企業の経営者がたくさんいる中で、TAM講座等を通じて実践力を学び現場で発揮していくことで、本当の意味で中小企業の経営者の役に立つことができるのではないか、と締めくくりました。

2018年度6月定例会 活動報告

2018年6月度の定例会についてご報告いたします。

6月度定例会は、前半に本年9月以降の定例会企画を決める企画コンペを実施しました。後半は平成30年度総会、本研究会の創立者である遠藤直仁先生による特別講演が行われました。
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企画コンペは事前のネット投票による1次選抜を通過した以下の上位15企画について、企画者よりプレゼンテーションが行われました。

  • No.1 補助金申請のノウハウ(初心者向け)
        甲田輝彦

  • No.2 商店街支援(まちゼミ、街バル,Facebook運営を中心に)
        西岡邦彦

  • No.3 診断士が知っておくべきSDGs~2030年までに中小企業が目指すもの~
        日景聡

  • No.4 もっと聞きたい! 事業承継入門講座・支援事例
        染谷勝彦

  • No.5 研修・セミナーにゲームを取り入れるときの3つのポイント
       ~例えばドイツ発世界No1人気ボードゲーム「カタン」を研修に取り入れる場合はどのようにすべきか~
        小島慶亮

  • No.6 紹介待ち診断士からの脱却。攻めの集客に活かせるWeb活用
        眞本崇之

  • No.7 小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金のポイントと支援
        山口達也

  • No.8 行動経済学を理解しビジネスに応用する
        沢田一茂

  • No.9 副業最前線!自分を200%いかす働き方
        夏原馨

  • No.10 人工弁から見た心臓外科50年の進歩と病院経営
        中口宗紀

  • No.11 美意識を高めるデザイン思考ワークショップ(プロトタイピング編)
        増渕健二、日景聡、木下忠

  • No.12 診断士は本当にAIに代替されないのか!?
       「Lineで起業相談!!起業ライダー マモル」開発のお話     
        仲田俊一

  • No.13 仕事が獲れる!!『セルフブランディング』の作り方
        坂本敦史

  • No.14 日本の事業承継の生々しい現状を知る 
       ~平成30年度事業承継税制改正による変化は如何に?~         
        岩本亨

  • No.15 プロジェクトF ~創業者の想い・M&Aに挑んだ診断士たち~
        宇都啓介、飯野英明 

持ち時間である4分間を存分に使い、熱意のこもった素晴らしいプレゼンテーションが実施されました。終了後、本発表内容について、コンペ当日の参加者により1位から3位までの投票が行われました。
集計は以下のルールに基づいて行われ、事前のネット投票とコンペ当日の投票を合算した点数で順位を競いました。

  • コンペ当日の投票 :1位3点、2位2点、3位1点
  • 事前のネット投票 :1位3点、2位2点、3位1点

集計の結果、順位は下記となりました。1位から9位までの企画が、本年9月以降の定例会で発表される予定です。

  • 1位 プロジェクトF ~創業者の想い・M&Aに挑んだ診断士たち~
       宇都啓介、飯野英明

  • 2位 診断士は本当にAIに代替されないのか!?
       「Lineで起業相談!!起業ライダー マモル」開発のお話
       仲田俊一

  • 3位 日本の事業承継の生々しい現状を知る
       ~平成30年度事業承継税制改正による変化は如何に?~
       岩本亨

  • 4位 仕事が獲れる!!『セルフブランディング』の作り方
       坂本敦史

  • 5位 もっと聞きたい! 事業承継入門講座・支援事例
       染谷勝彦

  • 6位 副業最前線!自分を200%いかす働き方
       夏原馨

  • 7位 小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金のポイントと支援
       山口達也

  • 8位 人工弁から見た心臓外科50年の進歩と病院経営
       中口宗紀

  • 9位 美意識を高めるデザイン思考ワークショップ(プロトタイピング編)
       増渕健二、日景聡、木下忠

後半は、年次総会が開催され、進行役である岩本幹事より平成30年度総会開会の宣言、次に決算報告・幹事改選を議題とする旨の報告がなされました。

決算報告については、沢田幹事より収支報告書に基づき会計報告が行われ、出席者全員一致の承認を得ました。

また、七田幹事より会員数の増減と2チームの解散について報告頂き、幹事改選では18名の再任と1名の新任について会員の承認を得ました。

総会の閉幕後、遠藤先生による講演が行われました。
総人口の減少はどのような影響があるか、BEP分析を用いて、不景気に強い企業はどちらか、という疑問の投げかけから始まりました。景気低迷期にリストラで人件費を削減し景気に強い変動費型にシフトしたが、売上回復期に利益が思うように伸びず、苦境に陥っている中小企業もあること、従業員の働き方も変わりつつあることを示され、新しい働き方像として、時間単位で給料をもらう考え方から離れた働き方、診断士業や副業の可能性を示唆頂きました。

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また、ご自身のご経歴をご紹介頂きながら、診断士の資格を取得した人間の責任として、会社や後輩、未来の子供達のために私たちの能力を存分に発揮して行く義務があるという熱いメッセージを頂きました。

2018年度5月定例会 活動報告

5月定例会の発表は当日参加者のみを対象とした限定公開内容のため、報告を割愛させていただきます。

2018年度4月定例会 活動報告

2018年4月度の定例会についてご報告いたします。

 4月度定例会は、石田紀彦会員の企画として『実演!「売れる商品写真」の撮り方』と題して、講演を行っていただきました。

 

■中小企業の売上を写真の力で向上させたい

カメラマン×中小企業診断士というコンサルティング業界の中でも稀有なポジショニングで独自性を発揮されている石田会員。ご自身の中小企業診断士としてのミッションを「写真の力で中小企業の売上に寄与すること」と位置付けています。
本講演では、きれいな写真を撮ること、ではなく、売れる写真を撮ることに焦点を当て、売れる写真とはどのような写真なのか、具体的な撮影技術やアンケート調査に基づいた検証、ご自身のコンサルティング実務における事例をご紹介いただきました。

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■「プロっぽい」写真の撮影技法

最初は、技術と機材の側面から、比較的予算が限られる中小企業が、いわゆる「プロっぽい写真」を撮るためのコツのご紹介でした。

撮影技術にはいくつかのポイントがあり、そのセオリーを押さえれば一定レベルに達することが可能です。また、かつては高価だった撮影機材も近年では安価な機材が普及しています。そのため、素人でも「プロっぽい写真」が撮れることを具体的に撮影方法や機材の紹介を交えてご説明いただきました。

実演ではNGの撮り方から良い撮り方まで、その場で実際に撮影し、低コストで実現できるテクニックも披露いただきました。最後に撮影された「プロっぽい写真」の出来栄えには会場からも「さすが!」と歓声が上がりました。

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■「顧客目線」のストーリー提供

石田会員によると、写真は撮影技術とマーケティング、自社コンセプトが揃って始めてプロモーション機能が発揮されます。これまでご自身が検証してきた様々な統計やアンケート結果のご紹介を通じて、写真の訴求ポイントがターゲットや商品毎に異なるという独自の興味深い理論を展開されました。また、商業写真では、非計画購買やブランディングなどのプロモーションの目的に応じて、「顧客の目線」に立ったストーリー性のある情報提供が大切である、とのご意見は非常に説得力を持つものでした。

 

 ■支援事例 売上高220%達成

最後に、石田会員の持論を企業支援の現場で実証した事例をご紹介いただきました。本事例では、売店の売上アップを目標に、商品毎に売上や粗利の実績データの分析から売り込み商品の優先順位を決め、現場視察によりターゲット特性の把握、購買行動を踏まえたプロモーション活動を実施するなど様々な興味深い取り組みをされていることが印象的でした。また、新商品の提案など、写真提供に止まらない、一歩踏み込んだ総合的な事業支援に感銘を受けました。

この取り組みの結果、なんと一部の商品では単価を上げたにも関わらず販売量が増加し、前年比220%もの売上アップを達成されたとのことです。

 

■最後に

最後の締めでは、石田会員よりすべての中小企業に売れる写真のノウハウを広めたいという志が述べられました。さらなる知見を蓄積して、そのノウハウを政策研の会員と共に中小企業全体へ広めていきたいとの姿勢には会員一同が共感し、講演終了後、会場は大きな拍手に包まれました。

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2018年3月度活動報告

2018年3月度の定例会についてご報告いたします。

 

3月度定例会は、企業内診断士の輪を広げる「楽しい」チームの企画として『本当はどうなの?企業内診断士【副業の実態】隠さず見せます!』と題して、講演を行っていただきました。

 

講演ではまず「副業って実際どうなの??」というテーマで三木会員より、中小企業診断士の副業の現状の紹介がされました。
診断士の副業の定義として、報酬があり、診断士の労働があり、雇用関係がないものと定義されました。その後、社会的な副業の現状として、一般的な副業の種類や企業の動向が紹介されました。
中小企業診断士になると、診断士向けの仕事の機会という「武器」が得られ、「防具」として副業での報酬を処理する方法が必要となることが紹介されました。

 

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副業の実態

第1部の「副業の種類・やり方」は、総勢135名回答によるアンケート結果をもとに中郡会員より発表されました。診断士の副業を「診る」「書く」「話す」「その他」の4つに分類し、副業の種類が紹介されました。
「診る」は補助金関連や経営診断が主で、先輩診断士など診断士同士の横のつながりでおこなわれることが中心のようです。
「書く」は単価があらかじめ決まっており、空き時間を活用でき企業内診断士の経験者も多い副業となっていました。
「話す」は講師などの副業で、単価がバラバラであり実績が求められ、研究会やプロコン塾などで経験を積むことが求められるようです。

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第2部の「会社や周囲の人への対策」は、久保会員より発表されました。
統計資料をもとに、企業の副業に対する姿勢や企業メリット、就業規則の実態、副業を行う際の注意点などが紹介されました。
就業規則では、企業内チームのメンバーの所属する企業の就業規則を実例として取り上げ、「全面禁止はない」「規則上は会社の承認があれば認めるというスタンス」が共通する内容であるとういう説明がありました。
周囲の人への対策として、就業規則や法律に関わらず、会社や家族など周囲の人の理解がなによりも大事であり、本業優先の姿勢と家族の理解を得るためにも家族サービスの維持・向上が必須であると紹介されました。

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第3部の「知っておきたい税への対策」は、井上会員より発表されました。
中小診子(ちゅうしょうみるこ)さんという架空の診断士の例を用いて、確定申告のやり方やしくみを解説されました。
確定申告をする中で出てきた、還付や源泉徴収、白色申告や青色申告、雑所得や事業所得、それらの違いや特徴などが説明されました。
確定申告をするかしないか、白色申告にするか青色申告にするかなど、副業で得られる金額や個人の状況によって異なるので、一概には線引きが難しいことが紹介されました。

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セキララ座談会

後半は、三海泰良氏、横山加代子会員、岸本慎介氏の3名による座談会が開催され,会場で集めたアンケートに3名が答えていく形で進行していきました。
三海泰良氏は個人事務所を開業し、執筆、創業スクール講師、経営支援などでご活躍中です。
横山加代子会員は副業企業し、クラウドファンディングを活用したbiz+uリュックの企画・販売を行っております。
岸本慎介氏は勤務先の副業解禁に合わせて、昨年個人事業主として開業しました。

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どのような副業をしている?一番おもしろかった副業は?という質問に対しては、

三海氏「おもしろいは達成感とイコールになる。達成感はチャレンジ+評価。具体的に言えば創業スクールがそれにあたりました。」
横山会員「ビジネスリュックの製造販売。診断士として、事業の経験をしてみたかったと前々から考えていたけれど、自分の欲しいカバンがなかったのがやろうと思ったキッカケでした。取材記事執筆で普段会えない人と会えるのと、紙媒体になることで達成感を味わえました。」
岸本氏「創業支援補助金では、いろんな創業をみることができた。Web記事の執筆では、自分が執筆したものを人に見てもらえるのがおもしろいと思いました。やってみたいことではありますが、自主出版でない形で本を書いてみたいと思っています。」
との回答をいただきました。その後は、実際の収入の話はどこまで経費に入れているかなど、参加者が本当に気になる部分の質問に対しても、表題の通りセキララに語っていただきました。

 

座談会の最後には、中小企業診断士について、これから副業を始める人へメッセージを送っていただきました。

三海氏「まずは動くこと!イーロン・マスクいわく「何か失敗していないのなら、イノベーションをしていない」失敗をおそれず、何かやり始めてみてはいかがでしょうか?」
横山会員「中小企業診断士は中小企業の社長、経営者と話すと、頭でっかちになりがち。「何を言っていたかわからなかった」と言われないように、上から目線にならないように、なにか事業をやってみるのはとてもいい経験になります。日本の経営者を応援して!」
岸本氏「特に合格したての方へは、研究会をいくつか入ってみてください。私は仕事の機会は研究会・支部活動で得られることが多かった。積極的に顔を出して、小さくても仕事をいただいて、実績を積み重ねていくことが重要です!」

 

終了時間が迫る中でもセキララに語っていただいたパネラーの方への感謝とともに、もっとお話をきいてみたいという気持ちは、座談会の終了とともに大きな拍手に変換され会場を包み込みました。
新入会員の方も多く集まり、参加者が80名を超えた3月定例会は、参加人数だけでなく拍手の大きさで興味関心の高さを表していたと思われます。

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中小企業政策研究会では引き続き新入会員を募集しております。中小企業政策研究会は試験に合格された方であれば、診断士登録をされていなくても入会できます。入会をご希望される方は定例会にご参加いただき、入会手続きを行ってください。皆様のご参加をお待ちしております

2018年度2月定例会 活動報告

 2018年2月度の定例についてご報告いたします。

 2月度定例会は、研究会「岩本組」の岩本統括幹事の企画として『事例に学ぶ、中小企業の社長はどのような支援を求めているのか?~ここまでやれば中小企業は生き返る!~』と題して、島根県信用保証協会出雲支店の支店長小野拳氏に講演を行っていただきました。

 講演冒頭には、小野氏の職場である島根県のPRが行われ、出雲大社の神話、15年連続日本一の日本庭園である足立美術館の紹介が行われました。島根県は、人口68万人、中小企業23,542社、東京都の5%ほどの市場規模であうことが紹介されました。

 

気がつかされた経営理念の大切さ

 最初に、小野氏の考える経営理念について、お話がありました。

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 多くの経営者が経営理念の価値に懐疑的です。実際、「理念で飯が食えるのか」という質問を何度もされます。経営者は理念を実現するため、商品価格を抑え、社員の福利厚生を充実させることが求められ、結果、利益を圧迫していると考えています。

 安い商品を提供することや、福利厚生を充実させることは、誰もが持っている表面的な要望に過ぎない。この表面的な要望を実現することは、企業理念の実現ではありません。本当の経営理念の実現は、お客様を感動させること。そして、お客様を感動させた従業員が、仕事にやりがいを感じ、幸福度を高められるものです。

 「理念で飯が食えるのか」という経営者の言葉は、当初は理念の実現が目的だったにもかかわらず、いつの間にか企業の継続を目的としてしまったことを示しています。

 私たちは、この話を、経営者に対するメッセージであるとともに、中小企業診断士への訓示として受け止めました。

 

経営理念の浸透を実践している企業の事例

 続いて、経営理念を実践している企業の紹介がありました。

 1社目は、エゴマの栽培と通信販売を行う会社です。社員自ら従業員の幸福向上にとり組むことで、お客様の感謝の言葉にみなで喜べる組織となりました。広告による攻めを一切せず、意識改革によって7年連続増収増益が達成されています。(健幸ファーム いづも農縁)

 2社目は、旅館です。若女将が顧客への質の高い奉仕を実施しています。小野さんは、この企業の経営理念に共感し、設備投資のために破格の借り入れを起こしました。今では、中国地方で非常に高い評価を受ける旅館になりました。社員にもその理念は引き継がれ、入社半年の新入社員であっても、顧客を感動させる接客が実現できています。(白石家)

 3社目は、アパレル製造業です。古い歴史的な染色技術を引き継ぐために自腹で投資をするカリスマ社長が経営をしています。「日本の心を引き継ぐ」という強烈な経営理念があり、社員の共感度が高い会社です。東京の有名な商業施設にも出店しています。(群言堂)

 

支援の事例

 中小企業の支援で、小野氏の部下Aが、1人の経営者との出会いによって仕事に対する姿勢が変わった、という印象深い事例を2件紹介いただきました。

 まず、パン等製造業の事例の紹介がありました。設備投資に失敗し、リスケにも失敗し、4年間孤独に代位弁済をし、返済を続けてきました。経営状況は悪く、社長自身も苦しんでいましたが、無添加にこだわったパンを作り続けていました。それを間近で見て心を打たれた部下Aは、経営の支援をしたいと小野さんに訴えてきました。経営者と若手社員は、二人三脚で経営改善に取り組み、苦境を脱することができました。この経緯は、「金融排除 地銀・信金信組が口を閉ざす不都合な現実 (幻冬舎新書)」に収録されています。

 もう1社は「破綻懸念」先として格付された鮮魚卸業でした。その企業は金融機関2社と付き合いがありましたが、証書貸付は折り返し拒否となり、手形貸付も更改拒絶となり、保証協会として支援することになりました。そこで小野氏は、入社3年目の部下Bに経営改善支援を指示しました。そして、まずはその企業の業務を理解するところから始めました。そうすると①競り→②仕分け→③値入→④市場持ち込み→⑤発送→⑥伝票などの業務フローが見えてくると共に、値入の決め方は感覚的に行っているため赤字が膨らんでいるという課題も見えてきました。そのため小野氏は値入管理を徹底し、資金繰り表の作成という当たり前のことを支持しました。資金繰り表の作成支援と実績確認を行っていき、都度対応策の検討を行っていくことで過去最高の単月利益となりました。「実は資金繰り表を作れる社長は少ないんです。支援して過去最高益となった際に、社長の奥さんは泣いて感動されました。」小野氏にとっても忘れられない出来事になっているようでした。

 

支援機関として企業のためにやるべきこと

 最後に、小野氏より熱いメッセージをいただきました。

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 経営理念を実現することで、社員が顧客幸福を実現する成功体験ができれば、社員幸福も高まります。社員幸福の高まりは、更なる顧客幸福を生むという循環がすすみます。この循環を作り出すことが支援機間の使命であると考えています。

 売り上げは、ありがとう、の数しか上がりません。そして、お客様のありがとうは、人でしか作ることができません。

 今、多くの経営者の方々は仕事が面白くないと感じています。それは、経営を継続するための資金繰りに追われ、多くの経営者の方々は目標が目的化してしまっていることにあります。

 日本の経済を支えているのは孤独な中小企業の経営者です。本気で応援してくれる人、経営者と一緒に戦っている戦友はほとんどいません。支援機関として、こんな方々を助けないでどうするのか、と常々考えています。

経営理念とは「この文言を実践するがゆえに、会社が社会から認められるもの」

 この小野氏の言葉に心を打たれた会場のみなの盛大な拍手で、定例幕は閉じました。

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