活動報告:2023年9月度定例会

2023年9月度の定例会は『診断士のためのChatGPT活用法を考える』と題して、木下会員、小薄大志会員にご講演頂きました。

 

(1)講演内容

1.  ChatGPT&BingAIめちゃめちゃ使える!<木下会員>

 有効な活用分野として東京都が「文章生成AI利活用ガイドライン」を発表しています。向いている分野、向いていない分野が整理されています。が、不向きな分野とされている検索や数学的な計算の分野においても、一定の条件下では使えます。

1)ChatGPTが凄いという例①

「ドラゴンボールの強さのランキングをいくつかの視点でグラフにまとめてください」と投げかけた際のChatGPTの回答があります。「ドラゴンボールのキャラクターの強さは多くの要因によって影響を受け、その多くは定量的に測定できない」との回答でしたが、これはその通りであり、とても適切な回答が返ってきました。

2)ChatGPTが凄いという例②

「なぜ月の自転周期と公転周期が同じなのか」と質問したところ、科学技術的に正しい回答を得られました。

3)SNSコメントの返信での活用

 YouTubeで蔵王の空撮を投稿したところ、英語でコメントが数件よせられたので、それに対しChatGPTに適切な回答を質問し、それをYouTubeのコメントに返信したところ、ますますコメントが盛況になりました。

4)契約書ひな形作成での活用

 契約書作成は仕事柄よく行うが、そのひな形を作成してくれる。その際、契約成立のために相手にとって厳しい条項を「もう少し表現を丸めてください」とChatGPTに依頼すると、適切な修正案を示してくれました。

5)新規事業アイデア出しの壁打ちとしての活用

新規事業創出に至る様々な過程でChatGPTがサポートしてくれる。診断士であれば、新規事業を検討しているクライアントの役に立つのではないか。

6)先行技術調査での活用

競合他社の技術調査が必要になる際に活用できる。Google検索で調査が難航していても、ChatGPTでは、海外情報含めて適切に調査することができました。

7)ネーミングの壁打ち

新サービスのネーミングを悩んでいたが、10でも20でも提案してくれる。実際そのうちのひとつを採用しました。

8)クライアントの技術内容の把握

クライアントの専門領域について、ヒアリング前にChatGPTを使って調査しておくと、ヒアリングを滞りなく進めることができます。

2. 超初心者のプログラミング支援~まずは使ってみよう!<木下会員>

木下さん自身の活用例

1)  事業再構築補助金採択結果の分析(ChatGPT Advanced Data Analysis使用)
 先日公表された第10回公募採択案件一覧のエクセルファイルをChatGPT4に読み込ませて分析 してみました。エリア別、主たる業種別、認定支援機関名別、そのグラフ化もあっという間に行ってくれる。また分析の提案も行ってくれる。

2) 小学生ヒアリング問題の復習アプリ(Web Speech API使用)
 テキストを音声に変換するWebアプリを作成してみた。テキストは小学生ヒアリング問題を採用。

3) 機械学習モデルを使ってみよう!(Tensorflow Hub使用)
 プログラミング言語は全く分からないのであきらめていたことが、ChatGPTを使用することによりできるようになったという事例。
 たとえば「投稿した写真に写っている動物が犬か猫を判別するwebアプリを作成してください」とChatGPTに聞くと、そのやり方を教えてくれる。わからないことがあれば、それをさらに尋ねると、丁寧に教えてくれる。これを繰り返すことにより、プログラミングのことを何も知らなくても、作れてしまう。
 最終的に、投稿画像に写っているものひとつひとつが、何者であるか(車、人、カバン等)を判別するアプリが作成できてしまった。

4)YouTube APIを使ってみよう!
 「YouTube APIの使い方を教えてください」とChatGPTに尋ね、わからないことを繰り返し聞くと、いちいち回答してくれる。
最終的にYouTubeのキーワード分析をして、該当する映像をクリックひとつで見えるようにするアプリが完成しています。

5)本の要約アプリ(ChatGPT API, firebase使用)
 本のタイトルと著者を入れると内容を要約してくれるアプリが作成できました。

やりたいことさえ明確であれば、その手法は全部ChatGPTが教えてくれます。

6)ユネスコ世界遺産マップ(ChatGPT Advanced Data Analysis使用)
 ユネスコ世界遺産マップというアプリを作ってみようとしてChatGPTに依頼したところ、最初は以下で、いまいち見栄えが悪い結果に。

 そこで、まず公開されている世界遺産拠点の緯度経度情報(1000行程度)をエクセルで取得し、それを中身の読み方もわからないまま以下のようにChatGPTに与えたところ、

最終的に以下が完成。

 文化・自然等のカテゴリ別に表示してみたり、地図の拡大表示をしてみたり、世界遺産の解説や動画のリンク等、自分が実現したかった機能が実装できています。

 このアプリで、すべての世界遺産が動画で簡単に把握できます。このアプリの制作期間は、まったくプログラムを知らずの状態で約1週間程度。ChatGPT凄い。プログラミング技術を知らなくてもアプリ開発ができる時代がすぐそこまで来ていることを実感できます。

3. Bing AIの紹介<小簿会員>
 Bing AIとは、Microsoftが開発したAIで、web検索、画像生成などの機能をもつ。ユーザとの対話を通じて情報提供やエンターテイメントを提供するサービス
赤色のアイコンが表示されていれば、使うことができます。

 ChatGPTは2021年9月時点までの情報しかないのに対し、Bing AIは検索の2日前の情報を反映できている。サイトのURLを指定し、それを要約するよう指示することもできる。たとえば、「WindowsPCとMacBookの違いを表形式で教えてください」と投げかけると、それに回答してくれるのはChatGPTと同様。ただし、その回答となる根拠となる情報源をリンクで示してくれるのが大きな違い。ChatGPTは根拠を示してはくれない。

また、Bing AIはGPT4を使用しているが、無料!(ChatGPTは有料) ただし商用利用が禁止されている(ChatGPTは商用利用可)。

4. ChatGPT(Bing AI)を用いたPythonコードの生成方法紹介<小簿会員>
※前提1:プログラミング経験なし
※前提2:ChatGPTかBing AIの使用経験あり
※Pythonはオブジェクト指向プログラミングに対応しており、豊富なライブラリを簡単に使用できることが特徴。webやインターネット、ゲーム開発等、さきほどの木下さんのアプリもPythonで動いており、身近に使用されている。

1)世界の実行東映データのグラフ表示
ChatGPTに以下の通りプロントを書きます。

これによって得られるコードをGoogle colaboratoryにコピペします。

すると、csvファイルが生成されます。

さらに、パレート図で表現するために、以下の通りプロントを書いてみます。

すると、以下のようなパレート図を出すことができます

2)バスケット分析
 以下のプロンプトを投入してみます。

これによって得られるコードをGoogle colaboratoryにコピペします。

結果は以下のとおりです。

 上記の通りテキスト情報にすぎず、グラフにはならなかったので、この情報をグラフ化するようChatGPTに依頼したところ、以下の通り、分析結果が得られました。

残念ながらグラフ化はできなかったのですがが、一応分析はしてくれました。

コード生成する際のポイントは以下の通りです。

 プロンプトを工夫することがChatGPTをうまく活用する大事なポイントです。有名なのは深津式です。東京都もガイドラインを発信しているので活用しましょう。

5.まとめ<木下会員>
 最後にChatGPTからのメッセージを紹介します。

ほんとにこの通りと思います。とにかくみなさん、ChatGPTを使いましょう!

(2)最後に
 今回の講演では『診断士のためのChatGPT活用法を考える』の題目の通り、木下会員からはかなり具体的な活用方法のご提案を頂くだけではなく、実際の活用事例のご紹介およびデモ、さらには小簿会員からは具体的な制作の過程もライブで紹介頂くという大変中身の濃い内容となりました。木下会員、小簿会員、ご講演ありがとうございました。

以上